アメリカ本国では2017年4月にHuluオリジナル作品として配信が始まったハンドメイズ・テイル/侍女の物語。すでにシーズン2の配信も決まっています。
ネット配信作品では異例のエミー賞(アカデミー賞のテレビ版みたいな位置づけ)の主要5部門(作品賞、監督賞、主演女優賞、助演女優賞、脚本賞)やゴールデングローブ賞の各部門を受賞するなど評価が非常に高いです。
そんなハンドメイズ・テイルですが、ついに日本でも2月28日からHuluプレミアとして初配信が決定しました。初日に3話まで公開されて、毎週水曜日に1話ずつ公開予定です。※すでにシーズン1全話を配信中です
ハンドメイズ・テイル/侍女のあらすじや見どころ
原作はカナダの女性作家マーガレット・アトウッドが書いた「侍女の物語」で、ドラマ版の前に1991年に映画にもなっています。
舞台は環境汚染のせいで出生率が極端に下がった宗教独裁国家ギレアド共和国(未来のアメリカ)で、出産経験のある女性は一部の特権階級の男性(司令官)用に子どもを産むための性奴隷にされています。ギレアドは聖書にも出てくる地名ですね。
子どもを産むことができる女性自体が貴重な存在で、エリザベス・モス(マッドメンのペギー役でおなじみ)演じる主人公ジューンも国によって捕らえられ、名前をオブフレッドに変えさせられます。
このオフフレッド(Offred)はOf Fred、つまりフレッドの物という意味で完全に女性を物扱いしています。さらに、耳には家畜のようにタグを付けさせられたりとヒドイ扱いです。
女性以外に同性愛者などキリスト教の教えに反する人々は弾圧の対象になって処刑されます。また、ゲイという言葉が禁じられて性の反逆者(gender traitor)と呼ばれています。
ジューンは夫と子どもと引き離されて司令官フレッド・ウォーターフォードの元で奴隷として暮らしていくわけですが、なんとか娘と再会できないかと動いていきます。
見どころはネット配信だからできる踏み込んだ描写
テレビ局放送の作品ではレイティングやスポンサーへの配慮からどうしても自主規制がつきものです。日本で1991年に公開された映画版も描写のぬるさが指摘されました。
そんな中、ハンドメイズ・テイル/侍女の物語では遠慮なく描き切っています。
奴隷にされて精神が壊れてしまった女性や儀式と呼ばれる傍から見ると奇妙な性行為などエグいです。
他にもジューンと司令官の妻であるウォーターフォード夫人との関係など、子どもを産める侍女と産むことができない司令官夫人との軋轢も見どころ一つです。
ハンドメイズ・テイル/侍女の物語ははたしてただのフィクションで片付けられるのか?
原作の「侍女の物語」は1985年に発表された作品ですが、この時代はレーガンがキリスト教福音派と強く結びついた結果、大統領になった時代でもあります。
キリスト教福音派や原理主義は女性の人工中絶に反対していいます。著者のマーガレット・アトウッドはこのまま福音派が政権深くまで食い込んでいったらアメリカは女性にとってどんな国になるかを想像して書いたとコメントしています。
予告の冒頭で「眠っていた(声をあげなかった)らこの世界になっていた」というフレーズが出てきて、とても印象的です。
いきなり、宗教独裁国家ギレアドが誕生したわけではなく、黙っていたら少しずつ変化していってギレアドが誕生しました。
現実世界の日本でもテロ対策の名目で法案が通ったり、アメリカではオバマ政権の男女間の賃金格差是正の大統領令がトランプ政権になって撤回されたりと、フィクションとリンクしつつあります。
原作は1980年代に書かれたものですが、現代でも色あせることなくこちらに訴えてくるものがあります。
作品としてのクオリティは文句なしです。視聴をおすすめします。
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